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すい臓がん

膵臓がんでの抗がん剤の種類や効果、副作用について解説する

膵臓がんの抗がん剤の副作用や効果、種類

あなたは、「膵臓がんと診断されて抗がん剤を使うことになったけど、効果があるの?」と、不安になっていませんか?

そこで今回は、膵臓がんでの抗がん剤の種類や効果、副作用について分かりやすく解説していきます。

ぜひ、参考にしてください。

抗がん剤は膵臓がんにどんな効果・役割があるのか?

そもそも、膵臓がんの治療の時に、なぜ抗がん剤を使うのかと言うと、以下の3つの効果を期待しているからです。

  • 手術ができない患者さんに対して、ガンの進行を食い止めるため。
  • 手術後の膵臓がんの再発を防止するため。
  • 手術前に少しでもガン細胞を小さくするため。

一般的に膵臓がんは早期発見が難しく、多くの患者さんはステージ3や4の段階で膵臓がんが見つかるので、抗がん剤は「ガンの進行を食い止めて、少しでもガン細胞を小さくするため」の役割を期待されて使うことになります。

万が一、手術できるまで膵臓がんが小さくなった場合には、手術による積極的な完治をする方針に切り替えて患者さんの命を救う、と言うのが膵臓がんにおける抗がん剤の役割・効果になっています。

膵臓がんにはどんな種類の抗がん剤が使えるのか?

では、具体的に膵臓がんの治療では、どんな種類の抗がん剤を使うかと言うと、現在では以下の3つが主流となっています。

  • TS-1(飲み薬)
  • FOLFIRINOX療法(4種類の抗がん剤・薬を使う治療法)
  • ジェムサール(点滴の薬。別名「ゲムシタビン」とも言う。)

この3つの中で、ジェムサールが膵臓がんの治療で最も古くから使われている抗がん剤で、膵臓がん以外のガンの治療にも使われていました。

しかし、研究によって「ジェムサールよりも、TS-1の方が膵臓がんに効果がある」と言うデータが出始めて、徐々にTS-1を使うようになってきました。

16年1月15日までの追跡データを解析した結果、5年生存率はゲムシタビン群の24.4%に対し、S-1群は44.1%と高値だった。つまり、S-1治療群は、ゲムシタビン群と比べて、40%以上も死亡リスクが低下したのだ

引用:すい臓がんの再発を抑制 飲む抗がん剤で生存率改善へ|男の健康|ダイヤモンド・オンライン

(注)上記の引用文に出てくる「S-1」とは、TS-1のことです。

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FOLFIRINOX療法は膵臓がんの新たな希望になる?

そして、FOLFIRINOX療法は、2013年に日本で適用されるのが認められた新しい治療法で、ジェムサールよりも高い治療効果があることが分かっています

フランスのグループが行った臨床試験(ACCORD11試験)において、FOLFIRINOXはゲムシタビン単独療法と比べて死亡リスクを43%減らし、生存期間を有意に延長した。対象は、遠隔転移を有する膵がん患者で、化学療法を受けたことがなく、比較的全身状態が良好な342人だった。

引用:選択肢が増えた膵がんの抗がん剤治療、手術はより安全に Vol.1:がんナビ

ただし、研究結果はフランス人を対象にしたもので、日本人ではまた違った結果が出るだろうし、FOLFIRINOX療法は4種類の薬を使うので副作用も強い治療法です。

なので、医師も「この治療法を本当にすべきか?」と慎重になるので、2016年12月現在では、患者さんの体調が良好で、薬が効けば完治も望める状態である事が条件になっています。

FOLFIRINOX療法の治療スケジュールや副作用、食事については、「国立がん研究センター」さんが詳しくまとめているので、以下のリンクを参考にすると良いでしょう。

参考リンク:国立がん研究センターによるFOLFIRINOX療法のまとめ

膵臓がんの抗がん剤に新薬はあるの?

2016年12月現在で、膵臓がんに使える最も新しい抗がん剤は「ナブパクリタキセル」と言うものです。

2013年に胃がんでの使用が認められて、その後2014年に膵臓がんでの使用も認められた新薬になります。

新薬と言うと、「新しいもの=性能がより優れている」と言うイメージがありますが、逆に言うと、まだ研究データが十分に集まっていない薬でもあるので、抗がん剤治療の1つの可能性として認識した方が良いでしょう。

膵臓がんの抗がん剤の副作用はあるのか?

どの種類のガンにも言えることですが、抗がん剤を使う以上は副作用は避けられません。

なぜなら、抗がん剤はガン細胞を攻撃する薬ですが、私たちの健康な細胞までも一緒に攻撃してしまうからです。
ただし、どの程度攻撃されるかは個人差があるので、同じ抗がん剤を使っても人によって副作用の強さが違ってきます

膵臓がんで抗がん剤を使うことで起こる副作用は、

  • 発熱
  • 吐き気、嘔吐、下痢
  • 頭痛、めまい
  • 脱毛
  • 肝機能や腎機能の障害
  • 骨髄抑制(貧血、白血球減少など)

などが考えられます。

先ほど3つの抗がん剤の治療法を紹介しましたが、この3つの内、どれが一番効果が出たり、副作用が出にくいのかは実際に使ってみないと分からない部分が多く、抗がん剤治療の難しいところでもあります。

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