乳がんでの分子標的薬の効果や副作用、費用などを分かりやすく紹介する
あなたは、「乳がんの治療に分子標的薬っていうのがあるけど、本当にガンに効果があるの?」と、疑問に感じていませんか?
そこで今回は、乳がんにおける分子標的薬の効果や副作用、費用などを分かりやすく紹介していきます。
ぜひ、参考にしてください。
分子標的薬とは?乳がんにどんな効果があるのか
分子標的薬とは、ガン細胞の成長・増幅に関係しているタンパク質や酵素を攻撃することで、間接的にガン細胞をやっつけようという狙いの薬です。
そもそも、乳がんのガン細胞は自然に成長しているのではなくて、私たちの体のエネルギーを奪ったり、決まったタンパク質や酵素を使うことでガンは大きくなっています。
つまり、分子標的薬はガン細胞そのものを攻撃するのではなく、ガンの栄養となるものを攻撃することで乳がんを治療するのが目的なのです。
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今も成長を続けている乳がんの治療薬
ガンそのものを標的にしない画期的な治療法で、2001年に「トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)」と言う注射剤が使えるようになり、2009年には「ラパチニブ(タイケルブ)」が承認されています。
そして、2016年現在で最も新しい乳がんの分子標的薬は、「ペルツズマブ(パージェタ)」と言う新薬です。パージェタの治療延・命効果については、群馬大学の堀口淳先生も以下の様に述べています。
試験の結果、無増悪生存期間(がんが悪化しなかった期間)の中央値が、パージェタ群が18.5カ月、コントロール群が12.4カ月となりました。つまり、ハーセプチンとタキソテールの治療にパージェタを併用した群のほうが、併用しなかった群よりも、6.1カ月間、約1.5倍も無増悪生存期間を延ばしたのです。
全生存期間においても良好な結果が出ています。試験開始後3年の時点で、コントロール群の生存率は50%でしたが、パージェタ群では66%でした。パージェタ群のほうが、コントロール群より、生存率が16%高かったのです
乳がんの分子標的薬の副作用
残念ながら、分子標的薬にも抗がん剤と同じように副作用は存在します。しかし、抗がん剤ほど重大な副作用は起きにくい傾向はあります。
具体的に挙げると、発熱・悪寒・心不全が起こる可能性があります。特に、発熱と悪寒は、初めて分子標的薬を使う患者さんの4割に見られる症状です。
また、薬を使っている時は一時的に心機能が低下するので、少し運動するだけでめまいがしたりしますが、薬を止めると心機能は元に戻るので安心してください。
乳がんの分子標的薬にかかる治療費は?
乳がんの治療では、ガンを治せるかと同じくらいお金のことも気になると思います。乳がんの分子標的薬の費用については、読売新聞社の記事が詳しいので、以下に引用します。
ただ、ハーセプチンは、体重50キロ・グラムの女性で1回当たりの費用が約11・5万円、パージェタは約23・8万円なのに対し、カドサイラは約47万円(患者負担はこの1~3割)。3週間ごとに1回、効果がある限り投与することが必要で、患者や医療財政への負担が課題となる。
健康保険に加入をしていれば治療費の3割を払うことになるので、ハーセプチンは約月3万5千円、カドサイラは月14万円かかります。
分子標的薬の治療は1年間行われるので、年間で42~168万円はかかると考えたほうが良いでしょう。
このようにかなり高額な治療費になりますが、「高額医療費制度」と言うガン治療の経済的支援を行える制度があったり、生命保険やがん保険を利用する手があるので、担当医や医療相談室に相談をするのが良いでしょう。
(ちなみに、上の文に出てきた「カドサイラ」とは、抗がん剤と分子標的薬を組み合わせた薬のことで、分子標的薬だけでは効果が出ない患者さんに使われる薬です。)
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