末期がんの緩和ケアの重要性や治療法、モルヒネについて詳しく解説する
あなたは、「末期がんで緩和ケアを受けたいと思っているけど、どんなメリット・デメリットがあるのか知りたい」と思っていませんか?
そこで今回は、末期がんにおける緩和ケアの重要性や治療法、緩和ケアで使われる「モルヒネ」と言う薬について分かりやすく解説していきます。
ぜひ、参考にしてください。
なぜ末期がんに緩和ケアが大事なのか?
末期がんになると、死に近づくだけでなく、毎日のように吐き気や下痢が襲ってきたり、タオルが引きちぎれるほどの痛みが骨や臓器に起こることが珍しくありません。
患者さんやご家族によっては、あまりの苦痛に耐えきれず「少しでも早く楽にしてほしい」と願う人もいるほどです。
緩和ケアは、このような患者さんやご家族のガンによる肉体的・精神的な苦痛から解放して、人生の最後の時を安らかに楽しく過ごすようにする治療のことです。
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緩和ケアとターミナルケア、ホスピスの違いとは?
緩和ケアを調べていくと、「ターミナルケア」とか「ホスピス」と言った専門用語が目に付くと思いますが、難しい言葉ではありません。
ホスピスとは、緩和ケアを行う病院・施設のことです。ホスピスは英語で「hospice」と書くのですが、病院の「hospital」と結構似ているんですね。
ターミナルケアは、緩和ケアと全く同じ意味で使われている言葉です。ちなみに、ターミナルとは電車やバスの終点のことで、患者さんの人生の最期に寄り添う治療、と言う意味合いで作られた言葉です。
緩和ケアではどのような治療法を行うのか?
緩和ケアでは、積極的にガンを退治する治療を行わずに、あくまでもガンによる肉体的・精神的な痛みから解放されるための治療法を行います。
具体的には、「モルヒネ」や鎮痛剤を使った治療を行うことになります。
なぜ緩和ケアでモルヒネがよく使われるの?
そもそも、なぜ末期がんになると痛みを感じるようになるかと言うと、大きくなったガン細胞が「痛点」を刺激しているからです。
痛点とは、私たちの体の至る所にある、痛みを感じる部分のことです。例えば、熱いものや尖ったものを指で触った時に思わず手を引っ込めますが、あれは指に痛点が集中しているからです。
痛点は骨や筋肉などにも存在しており、ガン細胞が大きくなればなるほど骨や筋肉を圧迫して痛点を刺激します。痛点が刺激を受けると、その情報が神経を通って脳に伝わり、脳が「これは痛みだな」と判断した時に私たちは強い痛みを感じます。
モルヒネは、脳が「これは痛みだな」と判断する中枢神経を麻痺させることで、痛みを感じなくする薬なのです。
モルヒネに副作用はあるの?
脳を麻痺させると聞くと怖いですが、モルヒネは専門家の医師が適切な治療法を行っている限りは、副作用や後遺症に悩む心配はありません。
モルヒネは間違った使い方をすると「麻薬」にもなる薬ですが、料理で使うナイフと同じで、間違った使い方をすれば殺人に使えるし、正しい使い方をすれば生活に役立つと言うだけです。
実際に、「モルヒネを使ったせいで寿命が短くなった」と言う事例はなく、アメリカで行われた研究が証明に成功しています。
モルヒネを使用しても、がん余命は短くなりません。1996年~1997年の651名の末期がん患者を対象としたアメリカ合衆国の研究では、医療用麻薬であるモルヒネの高い安全性と患者の生存期間に影響がないことが報告されています。がんの痛みが取れて、余命にも影響を与えないモルヒネを、拒絶する意味はありません。
緩和ケアで末期がんが治ることはあるのか?
「できれば、緩和ケアで少しでもガンが治れば」と思う患者さんも多いでしょうが、結論から言うと、緩和ケアでガンが完治することはありません。
そもそも、ガンを治すためには、外科手術でガン細胞を取り除いたり、抗がん剤でガン細胞を殺す必要があるのですが、緩和ケアはガン細胞にあまり触れずに、あくまでもガンによる痛みを軽減することに主眼を置いている違いがあります。
もちろん、緩和ケアをやったおかげで毎日を楽しく生きている結果、「もっと生きたい」と言う活力ができて免疫力が上がり、ガン細胞の進行を抑えれることは考えられます。