がんブック〜がんの専門ブログ

がんの情報を分かりやすく解説

乳がん

乳がんで手術前に抗がん剤治療を行う効果と副作用、入院期間を解説する

乳がんの手術前の抗がん剤の効果、副作用、入院期間

あなたは、「乳がんになって手術前に抗がん剤治療を受けることになったけど、本当に大丈夫なの?」と、不安に感じていませんか?

そこで今回は、乳がんになって手術前に抗がん剤を投与する効果や副作用、入院期間などを分かりやすく解説していきます。

ぜひ、参考にしてください。

乳がんで手術前に抗がん剤をやるメリット、効果とは?

そもそも、なぜ手術前に抗がん剤を使うのか、自分の乳がんがそんなに悪化しているのかと不安になると思いますが、じつは、手術前に抗がん剤を投与することで、以下の2つのメリットがあるのです。

  • 乳房温存療法を行える可能性を高める
  • 手術では取り除けない全身の小さなガン細胞を退治できる

様々な臨床研究の結果によると、手術前に抗がん剤を使うことで約80%の確率でガンが縮小し、20%の確率でガンが完全に消えることも分かっています。

実際に、「大阪赤十字病院」さんの以下のデータによると、手術前に抗がん剤を使うかどうかで、生存率に大きな違いが出ているのが分かります。(黒線が抗がん剤を使用、赤が抗がん剤を未使用)

nyugan-zyutumae-seika

最近でも、「この患者には、どの抗がん剤を組み合わせれば良いか?」「ホルモン治療や分子標的薬と一緒に使うと良いのでは?」と、さらなる工夫・改良がされて、今後の乳がん治療に期待がされています。

#

術後化学療法との違いはあるのか?

乳がんの治療には、抗がん剤を手術前に使う「術前化学療法」と手術後に使う「術後化学療法」があります。

以前の研究では、術前化学療法はガンを小さくして手術を行うやすくするため、術後化学療法は小さなガン細胞を取り除く効果があるとされていましたが、最近の研究では手術前と後に抗がん剤を使うのはどちらも同じ効果がある、と言うのが分かっています。

しかし、術前化学療法の方が「ガンが縮小している過程が検査で分かりやすい」と言うメリットがあるので、患者さんのモチベーションに繋がりやすく、ガン治療に希望を持ちやすい傾向があるようです。

乳がんの手術前に抗がん剤を使った時の副作用とは?

手術前に抗がん剤を使ったとしても、やはり副作用は免れません。主な副作用は、以下の通りになっています。

  • 脱毛
  • 吐き気、下痢
  • だるさ
  • 食欲不振

副作用は抗がん剤を使い始めて2,3日目が最もきつく、1週間経つと徐々に慣れていく傾向がありますが、個人差が大きいのも事実です。

今の治療では、吐き気を防ぐ制吐剤を使ったり、なるべく副作用を抑える抗がん剤の組み合わせなどを考えて治療を行うので、必要以上に不安に感じなくていいですよ。

乳がんの手術前に行う抗がん剤治療の入院期間は?

抗がん剤と言えば、「病院のベッドに寝て点滴をうっている」と言うイメージがあると思いますが、最近は外来治療が行えるので、仕事をしながら通院などもできます

ただし、持病を持っている、高齢などの理由で副作用が強く出る可能性が少しでもある場合は、最初の方だけ入院で様子を見て、慣れてきたら外来診療に切り替える病院もあります。

抗がん剤治療を行う投与スケジュール(レジメン)は、どのタイプの抗がん剤を使うかによって多少違ってきます。

例えば、AC療法と呼ばれる「アドリアシン+シクロホスファミド」の抗がん剤の組み合わせで治療を行う場合は、1日目に点滴をして次の日から20日休む、と言うのを4回繰り返します

他にも、「5-FU+ファルモルビシン+シクロホスファミド」の組み合わせの場合は、1日目に点滴をして20日間休むを4回繰り返し、その後に「ドセタルキセル」と言う抗がん剤を1日目に点滴して20日間休む、を4回繰り返すというスケジュールもあります。

その間に、MRIやCT検査で抗がん剤が効いているかをチェックしていき、もし効果がなかったり副作用が酷い場合は、他の薬に変えるなどの対応をしていく、と言う形になります。

-乳がん

関連記事