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胃がん

スキルス性胃がんの3つの治療法や再発の予防法

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あなたは、「スキルス性胃がんになってしまったけど、これから治療をどうすれば良いの?」と不安に感じていませんか?

そこで今回は、スキルス性胃がんの3つの治療法や再発の予防法を紹介していきます。

ぜひ、参考にしてください。

スキルス性胃がんと普通の胃がんの違いとは?

そもそも、スキルス性胃がんとは何なのでしょうか?普通のガンとの違いは、どこにあるのでしょうか?

普通の胃がんは1つ1つのガン細胞が強く結びついているので、ある程度大きな塊として発見されます。しかし、スキルス性胃がんはガン細胞の結びつきが弱いので、広範囲にガン細胞が広がりやすく急速に発達していく特徴があります。

他にも、スキルス性胃がんには以下のような特徴があります。

  • 30代~50代の女性の発症率が高い
  • 90%は腹膜(お腹の下部分)に転移する
  • 現在のところ、原因がはっきりと分かっていない

スキルス性胃がんの3つの治療法

スキルス性胃がんの治療法としては、以下の3つが挙げられます。

  • 外科手術
  • 化学療法(抗がん剤)
  • 温熱化学療法

以下は、詳しく見ていきましょう。

1、外科手術

基本的に、患者さんの体力・気力が許す限りは外科手術を積極的に行い、直接ガン細胞を取り除くようにします。

先ほども言ったようにスキルス性胃がんが広範囲に広がりやすいので、胃の全摘出手術を行うことになります。また、20%の確率で転移・再発する可能性のある「脾臓(ひぞう)」と言う臓器も、一緒に切除することになるケースが多いです。

脾臓とは、お腹の少し上にある臓器で、ケガをした時に止血してくれる「血小板」や体内に侵入したウイルスを退治する「リンパ球」を貯めておく役割があります。脾臓には、全身の1/3の血小板、1/4のリンパ球が蓄えられている程度なので、脾臓を全摘出しても命に別状はありませんし、副作用もありません

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腹膜手術も同時に行う場合がある

また、スキルス性胃がんの手術を行う場合は、『腹膜手術』も同時に行う場合が多いです。

腹膜とは、胃の周辺にある膜のことで、スキルス性胃がんの90%は腹膜に転移すると言われています。

なぜ、そこまで転移率が高いかと言うと、スキルス性胃がんは1つ1つのガン細胞の結びつきが弱く自由に動き回る性質があるので、胃壁を簡単にすり抜けて腹膜にこぼれ落ちるからです。

もし、腹膜にガン細胞がこぼれ落ちて「腹膜炎」になると状況は芳しくないですが、その前に手術を行うことで30%の人が腹膜の転移を防げると言うデータが残っています。

外科手術の後遺症や食事で気を付けること

胃の全摘出をした後は、今まで食べ物の消化の役割を担っていた胃がなくなるわけなので、食事に関して苦労することが多くなります。

例えば、胃の全摘出手術をすることで、体の食べ物を消化する能力が落ちてしまうので、血圧が急激に上がる「ダンビング症候群」やビタミンB12不足による「貧血」を起こす場合があります

ダンピング症候群を防ぐためには、

  • 少しずつゆっくりと食べ物を噛む
  • 1度の食事で多く食べるのではなく、何回かに分けて少しずつ貯める
  • よく噛んで食べる

と言う風に、なるべく腸の負担にならないような工夫をしていく必要があります。全摘出後の食事については、以下の記事に詳しく書いているので、参考にしてください。

参考記事:胃がんの胃全摘出をした人におすすめの食事・レシピ

また、ビタミンB12不足による貧血の予防ですが、これは病院側からビタミン剤をもらえるので、医師に相談すると良いです。

2、化学療法

化学療法とは、「抗がん剤を使った治療」のことです。抗がん剤は、

  • 外科手術の補助の役割として使う
  • 外科手術が行えない場合に使う

の2種類の使い方があります。

「外科手術の補助の役割として使う」場合は、手術中に腹腔(お腹の下部分)に抗がん剤を直接流しこむ方法で治療を行います。

なぜ腹腔に抗がん剤を入れるかと言うと、70%の患者さんが腹腔にガンが転移すると言われているので、ガンの転移を予防する意味で行われます。

「外科手術が行えない」場合の抗がん剤は、主にガンの進行を食い止めるために使われます。使う抗がん剤は「TS-1」と言う副作用が比較的軽い飲み薬と、点滴の抗がん剤1種類を使うことになります。(TS-1のみの場合もあり)

参考記事:胃がんの全摘出後に使う抗がん剤や食欲減少について解説していく

3、免疫療法

免疫療法とは、体の免疫を強くすることでガン細胞に打ち勝つ力を付ける治療法です。治療のやり方は、患者さんの体から細胞を取り出し、その細胞を「ガン細胞を攻撃するような細胞」に変化させて体に戻す、と言う方法を行います。

元々自分の体にあった細胞を使うので副作用もほとんどなく良さそうな治療法ですが、実際にはガン細胞を殺す力が弱く、効果は全体の5%と厳しい数値が出ています。

さらに、免疫治療は方法によっては「保険適用外」になる場合があり、治療費が高くなるケースがあります。

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