がんブック〜がんの専門ブログ

がんの情報を分かりやすく解説

胃がん

胃がんが腹膜に転移した時の生存率や2つの治療法

胃がんの腹膜転移

あなたは、「胃がんが腹膜に転移して、これからどうなるのだろうか?」と不安に感じていませんか?

そこで今回は、胃がんが腹膜に転移した原因や生存率、現在の治療法を紹介していきます。

ぜひ、参考にしてください。

胃がんが腹膜に転移する原因とは?

胃がんが腹膜に転移するのは、進行した胃がんが胃の外側の「漿膜(しょうまく)」と言う部分を破壊して、腹腔(お腹の中)にガン細胞がこぼれ落ちるのが原因です。

こぼれ落ちた胃がんは、「腹膜内遊離ガン細胞」と呼ばれるようになり、やがて卵巣や腸の腹膜にくっつき、腹膜を溶かす物質を出しながら成長していきます。

そして、ガンが血管の近くまで成長すると、その血管からガンに栄養が運ばれるようになり、ガン細胞の成長が加速して「腹膜転移」と呼ばれる状態になります。

胃がんが腹膜転移したのは検査で分かるのか?

胃がんの腹膜転移を検査する方法としては、大きく分けて以下の2つがあります。

1つ目は、CTや超音波診断などの医療装置を使って検査する方法

しかし、この検査法では1㎝以下のガンを見つけるのは難しく、さらに腹膜転移は「小さながガン細胞が広範囲に広がる症状」なので、もし、腹膜転移があっても発見できない場合があります

2つ目は、腹腔の部分に穴を開けて、そこからカメラ(腹腔鏡)で直接胃がんの状態を確認する方法です。

この方法は全ての病院が行っているわけではありませんが、ガン細胞のサンプルを取って顕微鏡で詳しく調べることができます。

腹膜転移の治療法についての是非

腹膜転移の治療においては医師でも意見が分かれるところで、例えば「国分寺鈴木医院」さんは、「腹膜転移の場合は、ガン細胞を食い止めることを優先すべき」との見解を示しています。

肝臓や肺、腹膜、骨や脳などに転移した進行胃癌は治癒不可能な疾患であり、治療の目的は症状の緩和にあるとがんセンターや大学病院では考えています。そのため末期胃がんといわれることもあります。

しかし、実際には遠隔転移した患者さんでも生活の質を保ちながら、人生を楽しみながら5年、10年と生活を続けているケースも珍しくはありません

引用:胃癌の再発・転移 【がん相談無料-鈴木医院】

しかし、一方で「可能であれば、手術をすべきだ」との見解があるのは、「日比谷内幸町クリニック」さんです。

胃全摘術後であり、食事摂取が思う通りに進まない中、全身状態の悪化や、他臓器への新たな転移も認めず、驚くほどに順調な経過を辿ります。

術前抗癌剤も、当初は毎週投与の強化メニューが予定されていましたが、複合免疫細胞療法の併用により、血液データの改善も早く、1回/2週の 抗癌剤投与を3回・複合免疫細胞療法を1クール行った平成22年9月に腹膜播種の手術が施行されました。

引用:症例6:胃癌(胃がん)⇒腹膜播種・両卵巣転移 - 最先端の免疫療法(免疫細胞療法)による癌(がん)治療専門 日比谷内幸町クリニック

そもそも、腹膜転移した胃がんは「ステージ4」の末期がんと診断されるので、生存率は10%以下となっています。

なので、手術をした方がガンが良くなるのか、抗がん剤などの他の治療法が良いのかは、医師でもかなり難しい判断になります。

なので、様々な医師の意見を聞いたり(セカンド・オピニオン)することで、自分が納得のいく治療法を行うのがベストだと言えます。

胃がんの腹膜転移には、どのような治療法があるのか?

#

腹膜切除

まず考えられるのが、腹膜を切除する外科手術です。この治療を行う場合は、手術前or後に腹腔(お腹の中)にチューブを差し込んで、そこに抗がん剤を溶かした生理的食塩水を1リットル流し込みます。

抗がん剤と聞くと「副作用がつらい」と言う印象がありますが、腹腔のみの流すので副作用も小さく、ガン細胞を少しでも小さくすることで、手術の効果を上げる役割があります。

また、なるべく切除する腹膜を減らすことで、手術後に起こり得る後遺症や合併症のリスクを減らす意味もあります。

腹腔内温熱化学療法

腹腔内温熱化学療法とは、「ガン細胞が健康な細胞よりも熱に弱い」と言う性質を利用して、ガン細胞を41~42度で加熱する治療法です。

オランダガンセンターの研究グループが、無作為比較研究を行い、この温熱療法が腹膜転移のガン細胞に有効だと言うのを証明しました。

しかし、「ガン細胞が2~3ミリの大きさの場合のみ、有効だった」と言う条件付きの治療法なので、あらかじめ大きなガン細胞を手術で切除する必要があります。

-胃がん

関連記事